Nachiko(舘岡奈智子)という謎のシンガーのデビューアルバム「薬屋の娘」(1980年)。しっかりメジャーからアルバムをリリースしているアーティストに対し「謎」とは失礼な話ですが、逆にメジャー(しかもEPIC)からのリリースにもかかわらずこれまでCD化もされることもなく、知る人ぞ知る隠れた名盤として語り継がれてきたのがこの作品でもあります。私自身が知ったのはつい最近で「幻の名盤叢書 プログレッシヴ・ロック」の紹介を見て。
日本のケイト・ブッシュと呼ばれているとか呼ばれていないとかで、透明感のある独特なボーカルが特色ですが、私にはケイト・ブッシュというより矢野顕子に聴こえましたです。森園勝敏が参加しているからでもないでしょうが、サウンドも四人囃子的なところもあり、四人囃子+矢野顕子という雰囲気です。アルバムタイトルや曲名だけを見てもわかるとおり、ことばのセンスも独特で、歌詞にいたってはシュールとしか言いようのない内容で、こんなものがメジャーから平気でリリースされていたということもある意味驚きではあります。個性が強いので好みは分かれるでしょうが、B級としての魅力では決してなく、音楽的な完成度はかなり高いと思います。
プログレど真ん中ではないもののプログレ的な要素は色濃くあり、プログレファンとして必聴の名盤と言えるでしょう。メジャーどころに飽きたマニアな方には新鮮に響くはず。マスター紛失でCD化の見込みはないとされています(*1 マスターは存在し、紙ジャケ・ボートラ付CD再発が決定しました。脚注参照)
<「薬屋の娘」収録曲>
A1.魂が旅にでちゃった (MY SOUL WENT ON)
A2.昨日から明日へ(ASH-COLOUR)
A3.水の炎(WISH YOU WERE HERE)
B1.足跡を食べないで(DRY ROVE)
B2.ボストンバッグの詩(BOSTON BAG)
B3.ブラックジャックの子守唄(DEAR MY B.J.)
B4.あんた(I'LL FILL SPACE)
A1.魂が旅にでちゃった (MY SOUL WENT ON)
A2.昨日から明日へ(ASH-COLOUR)
A3.水の炎(WISH YOU WERE HERE)
B1.足跡を食べないで(DRY ROVE)
B2.ボストンバッグの詩(BOSTON BAG)
B3.ブラックジャックの子守唄(DEAR MY B.J.)
B4.あんた(I'LL FILL SPACE)