オムニバス盤は聴き手にとっても初見のアーティストのアルバム1枚買う勇気はないけどちょっと聴いてみたいというときに便利なもので、昔は良く買っていました。いまは音源サンプルが自身のウェブやマイスペース、あるいはアマゾンなどの販売サイト等で公開されていて、試聴してから買うってこともできるようになっていますので、そうした使い道はあまりないのかもしれませんが、私のようにCD体質から抜けきれない無精者が手っ取り早く新しい音に出会うのに好都合なことは変わりありません。
さて、ハードロック系のアーティストの発掘などを行っているイグドラシル・レコード(YggrDrasill Productions)からリリースされた新旧10のプログレバンドの未発表曲を集めたオムニバス「Jap's Progre」がなかなかの力作です。ジェラルド(Gerard)、アウターリミッツ(Outer Limits)の重鎮だけでなく、他のバンドも知名度はともかくとして10年~20年の活動暦を誇るベテランバンドばかり。バンドのタイプも曲のテイストも10者それぞれではありますが、そういうところも含めて全盛期のメイド・イン・ジャパン(MADE IN JAPAN)、仏ムゼア(MUSEA)あたりを彷彿とさせ、70年代の偉大なプログレバンドを消化した80年代プログレの感覚が、懐かしさも手伝ってすんなり入ってくるイメージです。中でも女性ボーカルをフロントにしたシンフォニックバンドの月兔、水鏡、オルタナティヴ系の護魔(GOMA)、絶対無などが優れた曲を提供しています。アウターリミッツの曲も力作です。
沼袋サンクチュアリで先週発売記念ライブも行われたようです。護魔と絶対無のライヴは見てみたいなあ。