PROGRESSIVE ROCK ADDICT

英伊のみならず西北東欧・南北中米・アジア各国のプログレを愛聴。日本のも好き。目白や新宿、吉祥寺、川崎、関内にしばしば出没。 昔の音楽雑誌集めも。CITY POPやアイドルもよく聴いてます。音楽のことはよくわからないので、名盤とか名演とか言ってる場合、単に好きってことです。twitter: @ProgRockAddict

ザバダック ムーン時代5CDボックス1000セット限定リリース

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ザバダックのアルファムーン時代のアルバム4枚+シングル曲などを集めたレアトラックス集1枚の計5枚のCDがボックスセットとして2012年12月12日にリリースされました。1985年結成(アルバムデビューは翌86年)以来、多数の名盤を世に出してきたザバダックですが、上野洋子がボーカルだったアルファムーン時代のほぼ全曲を集めた本作は初期ザバダックの集大成と言えるでしょう。



ボックスセットの各CDについて一言コメント。

(1)飛行夢(そらとぶゆめ) 1989年11月リリース
それまで打ち込み中心でCM曲などを手掛けていたザバダックが初めて最初からフルアルバムとして意図して制作した作品(たぶん)。U2を手掛けたことでも知られるケビン・モロニーがエンジニアとして参加してダブリンのスタジオで録音したことや、アイリッシュハープで坂上真清(元ヴァーミリオンサンズ)がゲスト参加するなど、アイリッシュミュージックの要素をうまく取り入れていて、上野洋子の美声と相俟ってクラナドやアイオナを思わせるとこもいいです。個人的には、本作リリース後の90年8月にザバダックのライブを初めて観たこともあって思い入れも深く、今でもザダバックのベストと思う1枚。

(2)遠い音楽 1990年10月リリース
シングルとしてもリリースされ、その後もずっと歌い継がれている名曲「遠い音楽」や「Harvest Rain(豊穣の雨)」を含む、一般的にはこの時期の代表作とされるアルバムで他人にお勧めするとしたらこっちかも。「愛は静かな場所へ降りてくる」も超名曲。本作リリース後の全国ツアーを同年12月に札幌で観ました。

(3)私は羊 1991年11月リリース
打ち込みながらもファンタスティックな曲が魅力的だった東芝EMI時代→飛行夢→遠い音楽、と来てのかなりポップな作品だったので当時の印象としてはあまりよくないですが、今聴けばそれまでの作品をしっかり継承しており、「小さい宇宙」「同じ色の海」などの佳曲も含んだ悪くない作品。

(4)桜 1993年1月リリース
吉良知彦作曲のインスト大曲「桜」をそのままアルバムタイトルとしており、上野洋子の存在感が希薄になりつつあることが感じられるアルバム。実際このアルバムを最後に上野洋子は脱退してしまいます。「桜」ザバダック史上でも屈指のプログレ大作。

(5)MOON YEARS SPECIAL DISC
当時はザバダッククラスのアーティストでもシングルを切っていた時代。シングルのカップリングでアルバム未収録曲をまとめて聴けるのはうれしいですね。


名盤揃いのこの時代の作品ですが、軒並み廃盤状態で入手困難となっていたもようで、個人的にももっとも好きな時代であるだけに、再発され多くの人に触れる機会ができてうれしい限り。ただレアトラックス集収録の各曲はシングル集「remains」(1996)、ベスト「decade」(1993)、「Pieces of The Moon」(1996)に収録されているものであり、全作持っている初期からのファンにとってはこのボックスでしか聴けない音源はなく、ボーナスCDの内容はもう一工夫欲しかったところ(初出のライブ音源や映像DVDを入れるなど)。最新リマスター、SHMCD仕様という付加価値はあるものの、オリジナルがCD時代になってからの作品なのでリマスターによる差も私の耳では聴き分けられないと思われ、リマスターが出るたび買い直しという、プログレマニアの悲しい性、の一環となりそうです。

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zabadak - 遠い音楽