PROGRESSIVE ROCK ADDICT

英伊のみならず西北東欧・南北中米・アジア各国のプログレを愛聴。日本のも好きです。目白や新宿、吉祥寺、川崎、関内にしばしば出没。 昔の音楽雑誌を集めてたり。最近は和モノAORやアイドルもよく聴いてます。twitter: @ProgRockAddict

竹内まりや提供曲ベスト「Mariya’s Songbook」で味わう80年代アイドルソング

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竹内まりやがこれまでに他の歌手に提供した曲から本人がセレクトしたコンピレーション「Mariya's Songbook」が2013年12月4日にリリースされました。セルフカバーではなく提供を受けた当人が歌ったものをデジタルリマスターにて収録したものです。したがって、竹内まりや自身の唄は入ってません(初回盤のみのボーナストラックとして本人が歌うデモ版4曲収録)。

名作アルバム「Request」をはじめ他人に提供した曲を後に自身でカバーすることも多く、またその出来も素晴らしいのですが、このCDの楽しみ方は、本人が「楽曲提要の醍醐味は~自分以外の歌声が運んでくる新鮮なインスピレーションと、いつもとは違う歌世界へのアプローチが許されること」と語る通り、歌い手のことを想いながら丁寧に作った曲を、1曲1曲これまた丁寧につけられた当時のエピソードとともに味わう、ということだと思います。

本作品には、竹内まりやがこれまで他人のために書いた全90曲(2013年現在、作詞のみ作曲のみのものも含む)の中から30曲が選ばれています。中でも、竹内まりやがもっともたくさんの曲を書いた80年代(およそ2/3がこの時期)、もっともたくさん書いた女性アイドル(およそ2/3が女性アイドル向け)をじっくり聴いていますと、当時私が完全に素通り(というか積極的無視)していたこれらの曲が、とても大切なものに思えてくるから不思議です。私自身は80年代を10代として過ごしていまして、年代的にはぴったりなはず。ただ、ひねくれものであったためにアイドルソングというものを全く聴いておりませんで、「昔流行ったねえ」的な懐かしい想いで楽しむといったことができません。それでもなぜか刺さってくるのは、竹内まりやの歌だからなのか、無意識に刷り込まれた80年代の記憶だからなのか…。

岡田有希子が亡くなった時は学校でも結構な話題になったのですが(人気絶頂のアイドルの死ですから当たり前)、当時私は岡田有希子が誰かを知らず、もちろん歌も聴いたことがありませんでした。その時は、歌謡曲の裏方である作詞家作曲家が誰かなどに興味を持つこともなかったですし、そもそも竹内まりやをまだ知らなかったと思います。その岡田有希子にはデビュー曲はじめ11曲を提供してしており、本作にも「ファースト・デイト」「リトル プリンセス」「Dreaming Girl~恋、はじめまして」の3曲が収録されています。シングルジャケットが遺影に使われた「哀しい予感」の収録は悩んだ末に今回は外したことや、ファンからも岡田有希子曲のカバーの要望が多くても「なかなか気軽には歌えない」と心境を吐露しています(岡田有希子提供曲のうちカバー版があるのは「ロンサムシーズン」のみ)。

河合奈保子の「けんかをやめて」「Invitation」もオリジナルは初めて聴きますが、「けんかをやめて」は後の本人のカバーバージョンと比べ勝るとも劣らず。結構歌うまいですね。依頼もまだない時点で河合奈保子にと「けんかをやめて」を作ったところで偶然依頼があったというエピソードも秀逸。竹内まりやとは今も親交があるとのことですが、歌手デビューした河合奈保子の娘のkahoへの楽曲提供や、kaho版「けんかをやめて」なども聴いてみたいものです。

「駅」「OH NO, OH YES!」の中森明菜バージョン。オリジナルはこっちなわけですが、初めて聴きました。中森明菜の写真からインスピレーションを得て作ったという「駅」も、アルバム(「クリムゾン」)の5曲のうちのバリエーションとしてあえてAOR風にしたという「OH NO, OH YES!」とも竹内まりやの中でも大好きな曲。これらは世の評価もそうでしょうが後の本人バージョンの方が良いかな。

アイドル系では、堀ちえみ、中山美穂、福永恵規(おニャン子クラブ)、90年代ですが牧瀬里穂、広末涼子らも収録されていますがどれも良いですねえ。牧瀬里穂の「Miracle Love」なんかこんなに下手でも魅力的ってまさに「ミラクル」な歌を知ることもできて貴重な体験です。

薬師丸ひろ子や松たか子は女優としての表現力がなせる業か、歌手が本業ではないですが、素晴らしい歌を聴かせてくれます。歌どころか名前を初めて聴きましたが、みつきこと高畑充希も同じく女優ならではの奥深さなのでしょうか。これらを聴いていると歌唱力のある女優として沢尻エリカや柴崎コウが竹内まりやの歌を歌ったら、と想像してしまいました。

このほかにも、鈴木雅之、桑名将大(正博)ら男性歌手に提供した歌や、増田けい子(ピンクレディ)、松田聖子、松浦亜弥らアイドル卒業後の元アイドルに提供した曲、こうした企画盤でないとまず聴くことはないであろう森光子の歌などが聴けます。竹内まりやが歌うデモ4曲は初回限定盤のみの収録とのこと。歌詞の内容などから今後も本人がカバーするとは思えない広末涼子「MajiでKoiする5秒前」のデモ版などは貴重かもですね。

しばらくはこれがヘビーローテーションになりそうですが、そればかりか今回収録されなかった曲への興味、とくに多数の曲を提供している岡田有希子(11曲提供)、薬師丸ひろ子(6曲提供)、河合奈保子(6曲提供)、中森明菜(5曲提供)あたりは今更ながらアルバムごと買っちゃおうかと思っているところです(80年代当時は素通りしたのに何で今更!)。

今回のCD発売に合わせたタイアップ記事だと思いますが、ナタリーに掲載されている「竹内まりや×クリス松村『Mariya's Songbook』対談」がすごく良いです。アルバムのライナーノーツでも触れられていない話もいろいろ出てきていて、竹内まりやが一つ一つの曲をどんな思いで作り、今どう感じているかなど、歌い手を大事にし、作った曲を大事に思う竹内まりやの人格的な面もよく出ていて、これを読むとますますCDを楽しく聴くことができると思います。付録としてCDに封入して欲しかったですね。

いずれ30曲のみではなく全曲収録(エピソード付かつデモ版もセットで)バージョンをお願いしたいです。


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竹内まりや「Mariya's Songbook」(2013年12月4日発売)SPOT映像