2013年12月6日(金)表参道GROUNDにてYUKA & CHRONOSHIPのライブイベントが開催されました。今回は、ストレンジデイズ編集長の岩本晃市郎が不定期開催しているイベント「空想音楽博物館」の別館として曲ごとに岩本晃市郎とメンバーとのトークを挿んでのやや変則的ライブでしたが、YUKA & CHRONOSHIPのバンドとしての実力と可能性(市場性)を感じることのできる素晴らしいイベントでした。
平日開催で告知がわずか数日前で集客への不安もあったみたいで、実際張り切って開場時間に行った私はしばらくひとりぼっちで寂しかったですが(笑)、終わってみれば席も結構埋まってました。
演奏に先立って岩本晃市郎がロジャー・ディーン宅を訪問した際の様子をスライドを使ってトーク。YUKA & CHRONOSHIPが2013年にリリースした2ndアルバム「Dino Rocket Oxygen」のジャケットはロジャー・ディーンが手掛けたものなのですが、どうやら「ロジャー・ディーン風」であって本物ではないと思っている人がいるらしく、正真正銘であるということを力説されてました。
続いて始まったライブでは、2ndアルバムのほぼ全曲を演奏。アルバム収録曲は全11曲ですが、これらはそれぞれ組曲「DINOSAURS」「R is for ROCKET」「OXYGEN」を構成してまして、今回のライブでも組曲ごとに続けて演奏されました(「OXYGEN」のみ一部を他の曲に差し替え)。アンコール1曲を加えて全4曲の演奏だったのですが、今回の趣向は、曲間に(といっても1曲目と2曲目の後の計2回ですが)岩本晃市郎が、メンバーにいろいろ質問するというもの。
田口俊による曲のコンセプト説明も面白かったですが、楽器や奏法について、曲の一部を再現しながらの解説がなかなか興味深かったです。速弾きのとこゆっくり再現とか、ウィッシュボーンアッシュを意識したというギターとベースのユニゾンのとこだけ再現とか、ポリリズムの解説とか。これライブで一部の客相手だけにやるのはもったいない、というか、むしろライブはライブとして普通に楽しみ、この種のマニア向け解説を積極的にウェブサイトで公開(もちろん部分の演奏再現付き)でやるともっと面白いのにと思いました。
田口俊は、難波弘之がSENSE OF WONDERが本気で売れるプログレを目指していた時期(アルバムでいうと87年「SYNPHO BEAT」、88年「AQUA PLANET」)のコンセプトメイキングを担当していたはずで、そういうのが得意なのでしょうね。曲が良くて演奏うまいのは当たり前ですが、YUKA & CHRONOSHIPにはそれに加えて、美形キーボーディストがフロント、ベタに思われようともロジャー・ディーンのジャケ、マニアをうならせるようなコンセプトや曲中に忍ばせたオマージュ、といったプラスαや意図的な仕掛けもたくさんあることですし、日本のバンドとして頭一つ抜けた存在になりそうです。
これまでCDでしか聴けていなかったのですが、初のライブでライブバンドとしての実力も窺い知ることができました。2014年3月開催の「ジャパニーズ・プログレッシヴ・ロック・フェス2014」への出演も決まっており、来年以降の活躍がますます楽しみなプログレバンドです。
<メンバー>
船越由佳(Kb)
田口俊(B)
宮澤崇(G)
田中一光(Dr)
◇イベント概要
空想音楽博物館‐別館 ユカ・アンド・クロノシップ ライヴ&トーク・ショー
日時:2013年12月6日(金)18時開場/19時開演
会場:表参道GROUND
チケット:前売3,500円
出演:YUKA & CHRONOSHIP
進行・岩本晃市郎(ストレンジ・デイズ編集長)