アニメでもゲームでもなく、小説のイメージアルバムですが、難波弘之率いるプログレバンド、センスオヴワンダー(Sense Of Wonder)の「真幻魔大戦」は、プログレ作品としてかなり高レベルのものだと思います。ムーンダンサー~VOWWOWの厚見玲衣も参加したツインキーボードのゴージャスな作品で、永らくCD化されることもなく私もLPで聴いていましたが、5年ほど前にようやくCD化されました(現在は廃盤)。
本作品は、「ビッグ・プロローグ」「サイボーグ戦士ベガ」などといった曲名が示す通り、平井和正原作のSF「真幻魔大戦」のシーンやキャラクターを描いた小説のイメージアルバム。宇宙全体で遠い過去からはるか未来まで続く善と悪の壮絶な戦いを描いた原作(合ってるかな??)を、そのまま音楽にしたようなスケールの大きな一大コンセプトアルバムになっています。
ムーンダンサーを経てタキオンが解散した後、BOW WOWなど多くのアーティストのアルバムやツアーに参加していた厚見玲衣がキーボードトリオだったセンス・オヴ・ワンダーに加入していた短い時期に作られた作品ではありますが、もともと3人とは思えない迫力あるプログレを得意としていたこのバンドの歴史を通じて唯一の4人編成・ツインキーボード時代に残した大傑作でもあります。
アルバム発売ツアーの後BOW WOW(VOW WOW)加入のため厚見玲衣は脱退してしまいますが、4人でのライブはすごい迫力だったのではないでしょうか。私は2001年のセンス・オヴ・ワンダー結成20周年ライブに厚見玲衣がゲスト出演した際に4人編成でのライブを見ましたが、この時の演奏も素晴らしかったです。
難波弘之は、アニメ、ゲーム作品を多数手がけていて、この「真幻魔大戦」はじめ元の作品と切り離しても楽しめるアルバムを多数発表しているのですが、残念ながらいまだにCD化されていない作品も多いです。「グリーンレクイエム」と「銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ」は、ぜひともCD化してもらいたいものです。
SENSE OF WONDER with 厚見玲衣 - ベアトリスの釵(2001/9/7 FM東京ホール)