昨年末になんと約40年ぶりとなる新作を発表し話題になったロジャー・ニコルズ&スモール・サークル・オブ・フレンズ(Roger Nichols & The Small Circle of Friends、SCOF)が1968年に発表した唯一(だった)のアルバムは、現在では、アルバム全曲とそれまで入手困難だったシングル曲などを合わせて全20曲を収録したCDで楽しむことができます(1997年リリースの「The Complete」は19曲入り)。「The Complete」でライナーを手がけているピチカート・ファイイヴ(PIZZICATO FIVE)の小西康陽らシブヤ系アーティストがリスペクトしているアルバムでもあり、実際強い影響を受けているのでしょうね。
ロジャー・ニコルズはカーペンターズへの楽曲提供で知られるアーティスト。親しみやすくもどこかはかなげなメロディは、自身のグループであるSCOFでも遺憾なく発揮されています。このアルバムが日本においてソフトロックの名盤として語り継がれてきたのは、楽曲のよさもさることながら、今でも十分に新鮮で洒落たアレンジ、そしてなにより絶妙なコーラスワークのおかげでしょう。ヘタウマとまで言ってしまうと失礼に当たりますが、力の入っていない、ある意味ユルい感じの味わい深いのハーモニーは得がたい魅力。私は「The Complete」にボーナストラックとして収録されている「Let's Ride」が一番好きです。
40年ぶりのニューアルバムも聴いてみたくなりました。