イットバイツ(It Bites)が名作「Eat Me St.Louis」(1989年)以来19年ぶりで、通産4作目のスタジオアルバム「Tall Ships」をリリースしました。2006年に、フランシス・ダナリー(Francis Dunnery)に代わってジョン・ミッチェル(John Mitchell)をボーカル・ギターに迎えて再結成し、昨年ライブアルバムをリリースしていますが、スタジオアルバムとしては再結成後初の作品となります。
内容の方は、まるで前作から時間をおかずに同じメンバーで制作されたアルバムかと思うくらい、19年の歳月やメンバー交代を感じさせず、おそらく大半のかつてのイットバイツファンなら狂喜する内容なのではないでしょうか? 長めの曲もありますがどれもメロディアスで親しみやすく、時にハードに響くギターの音といい、プログレ的なシンセのアレンジといい、私自身も好きな「Eat Me St.Louis」のまさに続編的な内容で、すんなり聴けてしまいます。ジョン・ミッチェルは、声が似ているというよりもおそらく歌い方でかなりフランシス・ダナリーを意識しており、これが19年も前の作品との違和感ない連続性を感じさせる要因のひとつでもあるでしょう。この評価には賛否あるかもしれませんが、見事なセルフトリビュートという気もします。