アメリカの女性シンガーソングライター、ジュディ・シル(Judee Sill)の2ndアルバムが「Heart Food」。1979年に33歳(生年が1949年とする説もあり、だとすれば30歳)で麻薬中毒のため夭逝したアーティストが、生前に残した最後のアルバム。心温まる牧歌的なフォークとしても楽しめますが、アシッドでアンダーグラウンド雰囲気も漂っており、そのあたりの絶妙なバランスがこの作品の魅力でもあると思います。なかでも「Kiss」はとくに美しい曲で、じっくりと聴き入ってしまいます。アルバムの最後を飾る「Donor」も厳かな佳曲です。
正規アルバムはこの2ndのほかは1st「Judee Sill」のみ。死後、お蔵入りとなっていた幻の3rdが「Dreams Come True」として2005年にCD化されているほか、1st+2nd+大量のボーナストラックを収録した決定盤ともいうべきCD「Asylum Years」が2006年に、1972年~1973年のBBCでのライヴが「Live In London」として2007年6月に2枚組でリリースされています。ここ2,3年で一気に再評価+音源発掘が進んだようですね。