吉浦康裕が原作、脚本、監督を手がけネット配信で発表され、このほど全6話が完結したアニメ「イヴの時間」は、SF作家アイザック・アシモフ(Isaac Asimov)の「われはロボット(原題:I,Robot)」に代表されるロボットSFへのオマージュとして大成功といえる名作です。やはりアシモフへのオマージュ的作品であるスピルバーグの映画「A.I.」(原作はブライアン・オールディスの「スーパートイズ」ですが)と比べて、ずっとずっとロボットSFへの愛を感じるいい作品だと思いました。幼稚園くらいのころ、初めて「I,ROBOT」の子供向け版を母に読み聞かせてもらった時と同じくらいの感動を覚えました。
遠くない未来に本当に来るかもしれないロボットと人間の「人間」関係をテーマにしたSF作品であり、人とロボットの関係にフォーカスしていると見せかけつつ実は人間性そのものを描いたヒューマニティ溢れる作品であり、そしてロボット工学三原則を使ったミステリ作品、といういくつもの側面を持つアシモフの作品を、そうしたエッセンスをほぼ網羅した、丁寧なつくり。一旦6話で完結しましたが、どうやら続編もあるようなので、いまから楽しみです。
画像は、SAMMY役の声優田中理恵が歌うイメージソング「やさしい時間の中で」のCDジャケット。この歌もなかなかいいです。