12日に初台Doorsで行われたアネクドテン(ANEKDOTEN)のライヴを見てきました。11日からさまざまな趣向で4日連続で行われるアネクドテン来日公演の2日目、単独公演の初日です。会場はオールスタンディングで満員の300人くらいでしょうか。30代以上男性主ですが、たとえばチッタに集うプログレファンだけでなく、プログレなんて全く聴いてないかもしれないポストロックファンが大勢いたのではないか、という印象を持ちました。内容の方ですが、新作アルバムからの曲を中心に、旧曲を交えながら、2回のアンコール含めて約2時間半の、たいへん満足できるものでした。もちろんメロトロンも泣きっぱなし。時折、演奏しているはずなのに聴こえないところもありましたが、これだけ生メロトロンをたっぷり聴いたのは初めてかもしれません。よかったよかった。
アネクドテンというと、1993年のデビュー作「Vomed」が、キーフを思わせる幻想的なジャケット、キングクリムゾンのダークな面を純粋培養したかのような暗黒重厚なサウンド、そしてなにより、メロトロンのこれでもかというくらいの使われ方と、プログレファンの琴線に触れる要素満載で、こんな新人バンドが出てくるとは、と衝撃を持って受け止めた覚えがあります。ただ、もともとキングクリムゾンのコピーバンドから出発しており、それを隠そうともしないサウンドは、偉大なバンドへのオマージュとしてよくできたコピー的作品としての評価で、オリジナリティとか、曲自体の完成度とか、は今一歩、と思ったのもまた事実であります。それからおよそ15年。スタジオアルバムも2007年「A TIME OF DAY」で5枚を数え、来日公演も今回が3度目。ベテランの現役バンドとして大きく成長していたようで、キングクリムゾンをいい意味で十二分に消化したうえでオリジナリティ溢れる独自の世界観を確立しているなと思いました。