かつてFM情報誌とういうものがありました。FMで放送される曲を録音するために放送予定曲まで記載された番組表と、音楽関連情報とで構成された雑誌です。FM fan(共同通信社)、週刊FM(音楽之友社)、FMレコパル(小学館)、FM STATION(ダイヤモンド社)と最盛期の1980年代には4誌が発行されていました。
各誌毎号充実したオーディオや音楽関連の情報が掲載されており、プログレ冬の時代でも稀にプログレ特集が組まれていました。
1984年4月23日~5月6日の番組表を掲載しているFM fan 1984年 No.10には、ロバート・フリップのインタビューに加えて20ページ近いプログレ特集が掲載されています。特集は、北村昌士による評論「再検討! Progressive "ART" Rock その起源と終息と…」、英国主要バンドのファミリーツリー、プログレ10大バンド紹介(5大+ゴング、マイク・オールドフィールド、ムーディ・ブルース、ロキシー・ミュージック、ソフト・マシーン)、ディスクガイド50選、「プログレ・ヒットチャート・ストーリー1967~1983」で構成。
「プログレ・ヒットチャート・ストーリー1967~1983」は、プログレ関連作のビルボードのアルバムチャート最高位をリスト化した資料です。1967年のプロコル・ハルム47位に始まり、1983年のロキシーミュージック「ハイ・ロード」71位まで、17年約140作品が掲載されています。キングクリムゾンの「宮殿」はビルボート最高位は28位だったとか、1位はジェスロタル(72年「ジェラルドの汚れなき世界」、73年「パッションプレイ」)、ムーディブルース(72年「セブンス・ソジャーン」、81年「魂の叫び」)、ピンクフロイド(73年「狂気」、75年「炎」、79年「ザ・ウォール」)とか眺めていると楽しいです。そういえば82年デビューのエイジア(1stはビルボード1位)の記載はないのは、なにかの意志かもしれません。
ディスクガイドとしては、「Best Of Progressive Albums 50」として、英プログレの50作品を掲載。5大バンドの代表作以外では、ソロ作品やカンタベリー系多めな印象。ブライアン・イーノ、デビッド・ボウイやロキシー・ミュージックなどの境界領域の作品も。元ベルベットアンダーグラウンドのニコのソロ「ジ・エンド」は、プログレ関連作としてはノーマークで聴いたことなかったので、聴いてみようと思いました。