俳優の山田辰夫が亡くなりました。「おくりびと」とかけっこうメジャーな作品にも出てるんですね(初めて知りました・・・)。私にとって山田辰夫と言えば、主演デビュー映画、1980年の石井聰亙監督の「狂い咲きサンダーロード」しかない(しか知らない!)。初期の石井聰亙作品に共通する映像の暴力と混沌が感じられる、汗臭いパワフルな愛すべき作品です。
解散した元暴走族がホモ(小林稔侍)率いる右翼に入るとか、手足を切断されてながらも暴走族+右翼軍団に復讐するとか、そもそもぶっ飛んだストーリー展開には失笑(いい意味で!)ものですが、ラストの壮絶な戦闘シーン(いかにも低予算ではありますが)に至るまで、ある種不条理なドタバタ劇としても楽しめる、シュールな名作です。泉谷しげるやPANTA&HALのBGM(というより歌)も映像とよく合っていて、何度見てもよい作品ですね。バイオレンスをテーマにした娯楽的なストーリーを映像化したのではなく、ある種の情念を映像化した、映画のバイオレンス。今も大好きな映画です。