PROGRESSIVE ROCK ADDICT

英伊のみならず西北東欧・南北中米・アジア各国のプログレを愛聴。日本のも好き。目白や新宿、吉祥寺、川崎、関内にしばしば出没。 昔の音楽雑誌集めも。CITY POPやアイドルもよく聴いてます。音楽のことはよくわからないので、名盤とか名演とか言ってる場合、単に好きってことです。twitter: @ProgRockAddict

再結成&来日公演のドリーム・アカデミー DREAM ACADEMY 2014未発表曲入りベスト盤

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The Morning Lasted All Day : a Retrospective Dream Academy

ドリーム・アカデミーが再結成し2016年10月に来日公演することが決まりましたね!早速2日分のチケットをゲットしてきました。ドリーム・アカデミーは3人組ですが、来日は、ニック・レアード=クルーズとケイト・セント・ジョンの2人のもよう。2014年にはニック・レアード=クルーズとギルバード・ゲイブリエルの共作による新曲(!)を含むベスト盤がリリースされていて、再結成や来日にかすかな期待を抱いていたのですが、まさか本当に実現するとは!

さて、そのベスト盤「The Morning Lasted All Day : a Retrospective」ですが、デビュー作のプロデューサー、デイヴ・ギルモアが演奏にも参加した未発表曲も収録した2枚組となっています。リリースは2014年7月29日。

3枚のスタジオアルバムからの代表曲のほか、デイヴ・ギルモア参加の「Living in a War」「The Chosen Few」など未発表曲やアルバム未収録のシングルB面曲などレア曲、レアバージョンに、なんとびっくりの2014年新曲「Sunrising」まで全24曲を収録。日本オリジナルのベスト盤が99年に出ていますが、グローバルでは初となるベスト盤で、今回はリマスターもなされた決定版的内容です。

ドリーム・アカデミーはビルボードのシングルチャートで最高位7位を獲得した「Life in a Northern Town」だけの"一発屋"的に思われていることもあるようですが、1990年までに残した3枚のアルバムはどれも甲乙つけがたい傑作です。

海外では「DREAM POP」といったジャンルにくくられるとおり、オーボエなどアコースティック楽器を多用したアレンジとロマンティックなメロディが魅力のグループ。ニック・レアード=クルーズが十代のころから交流があったというデイヴ・ギルモアの参加で、ドリーミーなテイストも加わったネオアコという感じもあります。

本作品に収録されたかつて何度も繰り返し聴いた代表曲の数々は、もともとノスタルジックな気分に浸れるものが多いこともあって懐かしさも2倍。涙腺を刺激してくれます。未発表曲「The Chosen Few」は3rdアルバムのレコーディング中だった彼らのところにデイヴ・ギルモアがふらりとやってきてギターを録音していったというものらしいですが、デイヴ・ギルモアのギターはともかく、ポップな前半からハモンドが鳴り響くラストへの展開が美しい曲です。

最後に収録された新曲「Sunrising」は、ニック・レアード=クルーズとギルバード・ゲイブリエルの共作。繰り返される印象的なピアノのフレーズに、どこか遠くで鳴り響くようなギターやシンセが絡むトラックにニックの優しげな歌が乗り、往時のドリーム・アカデミーそのままの、心温まる佳曲。

その後ロジャー・イーノとの共作で名盤「THE FAMILIAR」を制作するケイト・セント・ジョン(KATE ST JOHN)がプロとしての本格的なキャリアをスタートさせたグループでもあるわけですが、新曲にそのケイト・セント・ジョンの参加がないことだけがとても残念ですが、再結成&来日公演にはケイト・セント・ジョンが加わるようなので楽しみです。もっともギルバート・ゲイブリエルの名前がないので3人揃わないのは今回も同様なのですが。

ザ・モーニング・ラステッド・オール・デイ ア・レトロスペクティヴ

ザ・モーニング・ラステッド・オール・デイ ア・レトロスペクティヴ

「フル・アルバムのCD化も近く実現する予定になっている」伊東ゆかり「ミスティー・アワー」1982年AOR名盤

伊東ゆかり ミスティーアワー
伊東ゆかり ミスティーアワー

「LIGHT MELLOW 和モノ ビクター編 SIGNAL」に伊東ゆかり「ミスティー・アワー」の中から「こんな優しい雨の日は」が収録され、ライナーノーツによれば「フル・アルバムのCD化も近く実現する予定になっている」とのことなんで、昨年投稿した同アルバムについてのエントリーを一部編集して再投稿します。

「CD化も近く実現するに違いない」伊東ゆかり「ミスティー・アワー」1982年AOR名盤(2014/7/10)

伊東ゆかりの1982年の和製AOR、シティポップスの名盤「ミスティー・アワー」。2015年8月に出たコンピレーション「LIGHT MELLOW 和モノ ビクター編 SIGNAL」に本作から「こんな優しい雨の日は」が収録されており、ライナーノーツで監修者の金澤寿和が「フル・アルバムのCD化も近く実現する予定になっている」と書いています。思えば、2014年6月に出た「LIGHT MELLOW 和モノ ビクター編 AVENUE」に「マリコ」が初CD化された際にもライナーノーツで「フル・アルバムのCD化も近く実現するに違いない」と書かれていたので、1年経ってちょっと進歩です。

本作ですが、林哲司プロデュース、竹内まりややEPOらが楽曲を提供し、難波弘之や井上鑑、村上秀一ら一流アーティストがバックを務める名実ともに極上ポップで、名盤との評価も定まっており、ビクターというメジャーレーベルから出ている作品にも拘らず、なぜか一度もCD化されていないのが不思議ですが、今度こそ?でしょうか。

捨て曲なしの全曲名曲なのですが、個人的には気になる曲は何曲かあります。竹内まりやが作詞作曲しコーラスでも参加した「恋人たち」。伊東ゆかりから影響を受けているという(そして実際声や歌い方も似ている)竹内まりやがおそらくは伊東ゆかりのイメージを壊さないように作ったのではないかと思われる、正統派バラードで地味ながら佳曲。一足早くコンピCD収録された「マリコ」もメロウなグルーヴを感じさせる代表曲だし、胸熱な「再会レストラン」も良いです。個人的に一番好きなのはA面最後の「SAYONARA」で、荒井由実「翳りゆく部屋」や竹内まりや「マンハッタン・キス」に匹敵する級の超絶名曲です。

伊東 ゆかり_MISTY HOUR (Part 2)|Music Avenue(2006/9/10)

Misty Hour / 伊東 ゆかり|At The Living Room Reloaded(2013/7/13)

ミスティー・アワー (生産限定紙ジャケット仕様)

ミスティー・アワー (生産限定紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:伊東ゆかり
  • 出版社/メーカー: ヴィヴィド・サウンド
  • 発売日: 2018/04/25
  • メディア: CD

KIRINJIライブ@Billboard Live Tokyo

2015年6月24日に開催された、掘込奉行脱退後の新生キリンジ(KIRINJI)のビルボードライブ東京での1日2公演×2日の2日目の1stステージを観てきました。旧曲の演奏は一切なし、4人リードボーカル、楽器持ち替えもありの7人編成はライブで飽きない良い演出だったと思います。

昨年出たKIRINJIとしての第1作タイトルが「11」と旧キリンジの10枚の続編的なとこがややこしいですが(収録曲11曲の意味も)、実質別バンド。旧キリンジが掘込兄弟のユニットだったのに対し、新KIRINJIは弓木英梨乃(90年生)、コトリンゴ(78年生)、堀込高樹(69年生)、矢野博康=客演(70年生)、千ヶ崎学(71年生)、楠均(58年生)、田村玄一(55年生)と、幅広い年代、まさに老若男女の固定メンバーによるバンド編成になっています。

リードボーカルとしても活躍する最若年でギター、ヴァイオリンの弓木英梨乃、同じくリードボーカルもとるピアノ、アコーディオンコトリンゴの2人の女性メンバー、いぶし銀のスティールギター&スティールパン田村玄一や元くじらでタイトなドラミングでバンドを支え曲によってリードボーカルも担当する楠均ら、有能で多彩なメンバーが集い、コンポーザーとしてもボーカリストとしてもキーパーソンであった堀込奉行の抜けた穴を補って余りあるといえるのではないでしょうか。歌の音程が安定しない堀込高樹がライブではいちばん足引っ張ってるのではないか説もw

披露した曲は、昨年リリースの「11」からと、ビートルズのカバーと、このメンバーでレコーディングした坂本真綾のトリビュート「うちゅうひこうしのうた」(菅野よう子作曲)、そしてアンコールで7月22日発売のシングル「真夏のサーガ」「 水郷」。旧キリンジの楽曲は一切なしでした。リハ不足か緊張感が欠けていたのか2曲もやり直しというハプニングがありつつも、それも含めてまったりゆったりの心地よい時間を過ごすことができました。

自分史上ベストライブ30

ライブアルバムとか出てる場合を除き、後から比較検証しにくいライブですが、過去約25年で約300回行った中でなんとなくの印象深いやつ。プログレは半分くらいでした。

DAVE SINCLAIR 2015/5/16 MANDA-LA 2
マリア観音 2014/12/17 EARTHDOM
ZABADAK 2014/7/12 TOKYO CINEMA CLUB
IONA / FLAIRCK 2014/3/6 O-WEST
MOONDANCER / TACHYON 2013/5/18 ROCK JOINT GB
ROVO 2013/1/15 UNIT
上原ひろみ 2012/11/14 AKASAKA BLITZ
EP-4 2012/5/21 UNIT
KENSO 2011/12/4 CLUB CITTA'
PFM / OSSANNA 2011/11/7 CLUB CITTA'
UK 2011/4/15 CLUB CITTA'
RENAISSANSE / STEVE HACKETT / 四人囃子 2010/8/22 日比谷野外音楽堂
OUTER LIMITS 2009/12/13 J-POP CAFÉ
ELECTRIC ASTURIAS 2009/12/5 BUDDY
DEAD END 2009/11/20 SHIBUYA AX
FATIMA HILL 2009/10/3 SANCTUARY
FAYRAY 2009/2/26 DUO MUSIC EXCHANGE
五人囃子 2008/4/7 STB139
プチネル 2007/12/17 BLUES ALLEY JAPAN
浜田麻里 2003/11/30 ZEPP TOKYO
SENSE OF WONDER 2001/9/7 TOKYO FM HALL
PAGEANT 1999/11/3 ON AIR WEST
PEKKA POHJOLA 1998/4/4 ON AIR WEST
FISHMANS 1997/8/29 札幌MESSE
PIZZICATO FIVE 1997/7/25 SAPPORO FACTORY HALL
STEVE HACKETT 1996/12/16 東京厚生年金会館
BRITISH FOLK&TRADの夕べ 1991/12/15 SILVER ELEPHANT
ZABADAK 1990/12/26 札幌赤れんがホール
PROVIDENCE 1990/4/8 札幌MESSE
TERRA ROSA 1989/3/1 EGGMAN

クラムボンとデイヴ・シンクレアが共演@ビルボード東京

2015年5月12日、ビルボードライブ東京に、クラムボンとデイヴ・シンクレア・バンドが登場し、マッチング・モール「O Caroline」やキャラバンの名曲の数々を披露しました。

この日のライブは、デイヴ・シンクレアとジミー・ヘイスティングスが「The 'Canterbury Tales Japan' Tour 2015」と題して全国7か所で行うツアーのスペシャルショーの位置づけ。1日2回公演ということで1回1時間半足らずの短い間に、2バンドそれぞれがライブを行った後に、2バンドのメンバー入り乱れ最大7人によるカンタベリーメドレーとなりました。

2013年にクラムボンとしてリリースしたカバーアルバムでも「O Caroline」を取り上げるなど、プログレファンとしても知られるクラムボンのミトは、2011年のNHK FMの「今日も一日プログレ三昧、再び」の 番組内のスタジオライブで、上野洋子山本精一、富家大器らとともにデイヴ・シンクレア・スペシャルバンドに参加。その縁で今回の約4年ぶりの共演が実現したものです。

クラムボンは、この日にふさわしいセットリスト、アレンジだったのかもしれませんが、私のようなデイヴ・シンクレア目当てのプログレファンが初めて聴いても一発で気に入ってしまうような、プログレッシヴなパフォーマンス。キーボードの原田郁子、ドラムの伊藤大助、ベース(曲によりギター)のミトのたった3人でやっているとは思えない厚みのある演奏でした。これまでクラムボンはあまり聴いたことがなかったのですが、ファンになってしまいました。

デイヴ・シンクレアとジミー・ヘイスティングスのツアーは、このあと5月15日(金)に吉祥寺Mandala2、5月16日(土)横濱エアジンと続きます。

クラムボン meets デイヴ・シンクレアBillboard Live Tokyo クラムボン、元キャラヴァン=デイブ・シンクレアとの2マンライブにて「キャラバン・メドレー」のコラボレーションが決定Billboard JAPAN

Dave Sinclair公式サイトClammbon公式サイト

Dave Sinclair ...'Disassociation' - Nine Feet Underground In Kyoto, Japan. from Christopher Fryman on Vimeo.

ユカクロ(Yuka & Chronoship)の3rdアルバム制作に向けクラウドファンディング実施中

今や世界的に活躍する日本の現役プログレバンド、Yuka & Chronoshipが、3rdアルバム制作に向け、2015年5月25日を期限とした目標額80万円のクラウドファンディングを実施しています。

Yuka & Chronoshipの記念すべきイギリスデビューアルバムを一緒に作りませんか!|MotionGallery

新作となる3rdは英チェリーレッドから9月にリリースされることが決まっており、まもなくレコーディングに入るところですが、今回のファンディングで調達した予算は、サウンドのクオリティアップ、ブックレットの充実、プロモーションビデオの制作などに充当するとのことです。

ギフト(出資の見返り)がステッカーのみの1,000円から参加できますが、5,000円で新作アルバム+ライブ1回で十分「元は取れる」内容ですし、10,000円でサイン入り新作アルバム+ライブ1回+ブックレットに出資者として名前記載、30,000円だとサイン入り新作アルバム+ライブ3回+Tシャツ+名前記載など上位のメニューもあります。

10,000円コースと30,000円コースの20,000円差はライブ2回とTシャツの差なので、30,000円1口より10,000円3口の方がお得な気もしなくはなく、30,000円コースのライブは最前列が確約されてるとかなんかもう少し魅力あった方が良いようには思われるものの、そこはそれとして熱意のある方はぜひ30,000円コースを申し込まれると目標金額達成も早まることでしょう(ただし、目標達成か否かに関わらず申し込み分は全額ファンディングされるとのこと)。

クラウドファンディングとは、ネットを通じて不特定多数の人から資金調達する手段のことですが、音楽の世界でも使われることが増えてきました。プログレ関連ですと、スティーヴ・ロザリー(元マリリオン)がクラウドファンディングで調達した資金でアルバムを制作したり(2015年2月リリースの「The Ghosts Of Pripyat」)、ゴブリンが調達を終えた資金で制作を開始したりと、だんだん身近になってきました。

金を集めたは良いけど、予定どおりのものが作られないとか、場合によっては半ば確信犯的にそうしているといったケースもなくはないようですが、全体としては面白い取り組みになっていくと思います。再発専門のソニーのオーダーメイドファクトリーなんかも、事前決済で一定数集めたら再発決定ということで似たような方式ですが、他社も他のアーティストも新作、再発やライブ(よりよい会場で、とかよりよい演出で等)に使えばよいのではないかと思います。

プログレ本「THE DIG Presents プログレッシヴ・ロック 2015 プログレ四天王の今」

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プログレ本「THE DIG Presents プログレッシヴ・ロック 2015」が、2015年2月16日にシンコー・ミュージックから発行されました。

サブタイトルが「"プログレ四天王"の今」となっているとおり、"マーク8"としてライブ活動を始動した新生キング・クリムゾンと、新作で最終作とされる「永遠(TOWA)」をリリースしたばかりのピンク・フロイドをメインに、キーパーソンへのインタビューも豊富に四大バンドに直接関係ある記事だけで構成されています。
 
キング・クリムゾンのパートでインタビューに登場するのはジョン・ウェットン(現メンバーではないがw)。当然ながら自身の在籍時期の話を披露しています。ピンク・フロイドについては、新作の共同プロデューサーに名を連ねたフィル・マンザネラへのインタビューに加えて、厚見玲衣がリック・ライトについて、柏原克己がニック・メイソンについて熱く語ってくれています。この2バンドが新作や再発された旧作、未発表音源集等への詳細な解説なども含めて各40ページを割くメインコンテンツの扱い。
 
EL&Pは1年前に出た「恐怖の頭脳改革」40周年版くらいしか話題がない中で、キース・エマーソンへのインタビューを収録。キース・エマーソンが40周年版を聴いてないとか、リミックスを手掛けたジャッコ・ジャクスジクについて「誰それ」的な回答をしているなど、なかなか微笑ましいインタビューです。70歳で引退宣言は撤回したもののEL&Pをやる気はもうまったくなさそうです。
 
昨年新作をリリースし、危機&こわれものの再現ライブで来日もしたイエスはメンバー揃ってのインタビューや新作のプロデューサー、ロイ・トーマス・ベイカーへのインタビューも掲載。
 
四大バンド以外の唯一の例外がスティーヴン・ウィルソンへのインタビュー。キング・クリムゾン、イエス、EL&Pのリマスターを手掛けているので人物的には無関係ではないですが、インタビューではそのことにはあまり触れず、純粋に間もなくリリースされる予定の新作「Hand Cannot Erase」について語っています。
 
四天王じゃなく五大バンドであるべき、という話もあると思いますが、THE DIGのムックとしてはジェネシスは2014年11月に単体で出たばかりなのでした。