フランスの叙情派プログレの名作として知られるペンタクル(PENTACLE)の唯一のアルバム「La Clef Des Songes」(1975年リリース)。
私がプログレを聴きはじめた80年代半ばころは、今ほどプログレ作品の入手が容易ではなく、専門店に行っても「名盤」のオリジナル盤はプレミアム価格で取引されていて子どもには手出しできませんでしたし、世界的に見ても体系的な再発はキングレコードのユーロピアンロックコレクションくらいでオリジナルでなくてもいいから聴きたいという希望もかなわないという状況でした。そんな中で、比較的早く廉価な再発盤が出ていたのがこの作品で、フレンチプログレの入門としてふさわしいかどうかはともく、幸か不幸か、私が初めて聴いたフランスのプログレであり、日本を除く非英語圏の作品としてもおそらくイタリアのPFMの次くらいに聴いたのがこの作品でした。しかも、毎月10~20枚ものCDを買い一度聴いたきりのものも多数ある今と違って、子どもの小遣いでは月に1~2枚しかレコードを買えなかった当時、どんな作品でも数十回聴きこんだので、その意味でも思い入れ深い作品ではあります。
さて、中身の方ですが、あまりうまくない線の細い男性ボーカルからはフォーク的な印象も受けますが、サウンドは特色あるキーボードが際立つゆったりとした叙情派シンフォニックロックです。とくに6曲目の10分以上の大曲「Le Raconteur」は、メロトロンをバックにした、甘いトーンのギターとモーグのソロが光る感動作。MUSEAのサイトでは初期キングクリムゾンからの影響に言及されてますが、個人的にはブリティッシュプログレにはない感動を受け、子ども心にまさにこれぞヨーロピアンロックと思ったものです(なんのこっちゃ)。
MUSEAからの再発CDはリマスターされているほか、ボーナストラックとしてライブ3曲追加されています。ボーナスのライブは音質も悪いですし、演奏もベストとは言えないですが、メロトロンやモーグのオンパレードの「Le Raconteur」はぜひともライブで見てみたかったですね。