トランペット奏者の新田一郎率いるスペクトラム(SPECTRUM)は、1979年にデビューし、活動期間は2年余りと短命ではありますが、ライブ盤含め6枚のアルバムを残し、CMタイアップなどもあって、商業的にも一定の成功を納めたといえるグループです。それだけメジャーなこともありアルバムやビデオなどは今でもCD、DVD等でも入手可能ですが、今回私が手にしたのは2005年リリースの15曲入りベスト盤。
キャンディーズのバックバンドが母体になっているからというわけでもないでしょうが、曲はかなりキャッチー(というか歌謡曲的)。ただ、トランペットやトロンボーンを全面にフィーチャーしたアレンジは今聴いても新鮮ですし、ファルセットのボーカルも不思議な魅力に感じられます。ネットで調べると「古代ローマの戦士をイメージした」奇抜な衣装の画像が見つかりますが、実力の割にはイロモノ扱いされていたとの評価もあったのは、こうした売り出し方と歌謡曲調の曲のせいではないかと思われます。
ファルセット+ホーンというとアース・ウィンド&ファイア(EARTH WIND & FIRE)あたりが思い浮かびますが、新田一郎が影響を受けたのはシカゴ(CHICAGO)の1stみたいです。スペクトラムほど風変わりな音楽ではなかったような気もしますが、ブラスロック時代のシカゴをあまり知らないんで比較はできませんが。
新田一郎はその後ソロに転じ、数枚のアルバムを出しますが、1985年の作品を最後に、プロデュース業・プロダクション経営に専念しています。