
6月に上半期のベストCDを選んだりしてみたのですが(2011年上半期ベストCD)、これらを凌駕する作品が出まして、まだ9月末ですが2011年のベスト作品になるのではないかという予感。既に聴いたところではジョン・ウェットンやメグ・ベア―ドのソロ、これから出るところではスティーヴ・ハケットのソロやシェラザードの3rd、ラウラ・パウジーニ新作など強敵も出てきそうですが、この完成度を超える作品がはたして現れるかどうか。
さてその早くも2011年ベスト1候補が何かというと、エレクトリック・アストゥーリアスの1st「フラクタルズ」(9/4リリース)。4月にアコアスの新作が出たばかりなのに、メンバーも重なるエレアスのアルバムが早くも聴けるとはなんと幸運な年なのでしょう。
アコアスはとても素晴らしい作品やライブを聴かせてくれる良いバンドですが、狭義のロックとは必ずしも言えず、2008年にアストゥーリアス名義(=マルチ)でリリースされた「樹霊」はこれまた素晴らしいプログレ作品ではあるものの多重録音故にそのままライブで再現するのは困難ということで、第3のアストゥーリアス、エレアスのアルバムは「ライブで演れるロックの方のアストゥーリアス」という感じで、多くのファンが待ち望んだもの。メンバー的には、アコアスにも参加している3人(大山曜、テイセナ、川越好博)に平田聡(ギター)、田辺清貴(ドラム)を加えた5人。アコアスのもう一人のメンバー筒井香織はレコーディングには参加していませんが、マスタリングで参加しています。
内容的には、変拍子を多用するなどした難曲揃いでもドラマティックな展開やメロディ良さがそれと感じさせることがないインスト作品。しかも美しい旋律で単に聴き心地が良いというだけでなく、ライブでも実感するところですが時に攻撃的でさえある緊張感あるアンサンブルで迫ってきて、飽きるということがありません。ゲームのBGM、小説のイメージサウンドとして作曲されたものが多いことも関係しているかもしれませんが(それぞれ別々のゲーム、小説ですが)、アルバムを通じて「悲壮感」「宿命」といったアルバムのテーマが浮かび上がってくるような、コンセプトアルバムの要素もあってプログレファンとしては嬉しいところ。
次回ライブはアコアス(10/22)が決まっているのみのようですが、ぜひまたエレアスのライブも聴きたいものです。
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