80年代初期、たった3年の間に3枚のアルバムと2枚のシングルをリリース、流星のように一瞬の輝きを残してシーンから消え去ったかに思われていたナチコが、約30年ぶりに音楽界に帰ってきました!
2013年10月30日に新作ミニアルバム「Warming up」をリリースし、11月27日にはライブも。さらに、初期作品はマスター紛失のためCD化は不可能とされていたのですが、マスターが存在していたことも判明したもようで、再発への期待も高まります。
さっそく新作「Warming up」を聴いてみました。「紫の糸」は2nd「お花畑は水びたし」収録曲のリメイク。原曲はプログレっぽい雰囲気のある曲ですが、本作では15分ものロングバージョンで、ハードロックテイストで復活を告げるパワフルな1曲になっています。続く「Prisoner」「ホ・ン・ネ」「夕映え」「幻華」は新曲。ヴァイオリンやオルガン、和太鼓などが活躍する個性的な曲ですが、かつての作品と比べるとプログレ色は後退して、シュールな歌詞も鳴りを潜めた、大人のロックを聞かせてくれます。ボーカルも高音域だけでなく低音域の声も活用し、ナチコの多様な面を見せてくれる作品になっています。そして再び2nd収録曲のリメイクで「体が風になるまで」。こちらもアコースティックバージョンといった趣でオリジナルのプログレバージョンとの聴き比べも面白いです。
以上6曲にボーカロイド風デモトラック「μμタンバリン」を加えた全7曲でミニアルバムといいながら計50分弱。プログレ度は旧作より後退していると思いますが、聴きごたえは十分です。ライブでは、新作だけでは曲数が足りなさそうなので、旧作からの曲も披露してくれるのではないかと、いまから勝手に期待しています。
ナチコは、メジャーデビューのきっかけになったデモテープのアレンジは佐久間正英、アルバム参加アーティストは森園勝敏、渡辺建、久米大作、中村哲ら四人囃子、プリズムといった一流プログレ系人脈が関わった高いクオリティの作品を多数リリースしており、透明感のあるハイトーンヴォイスやシュールな歌詞の魅力が相俟ってケイト・ブッシュを思わせる存在感を示していたシンガーです。
1980年に1st「薬屋の娘」、2nd「お花畑は水びたし」、翌81年に3rd「髪舞」と3枚のアルバムを矢継ぎ早にリリースしたあとは、83年の2ndシングル「ネイチャーボーイ」(2nd収録曲)を最後に音楽業界から姿を消してしまいます。しかも、これまでの定説では「マスター紛失のため」旧作のCD化も実現せず、まさに幻のアーティストによる幻の名作として語り継がれてきました。新作&ライブ(&もしかしたら旧作再発も?)での復活はうれしい限りです。
◇ライブ Nachiko Live 2013
日時:2013年11月27日(水)開場18:30/開演19:30 前売\3,500/当日\4,000
会場:BLUE MOOD 中央区築地5-6-10 浜離宮パークサイドプレイス1F
TEL:03-3249-6010 URL:http://blue-mood.jp/ http://blue-mood.jp/about/index.html
メンバー:Nachiko、そうる透(Dr)、和佐田達彦(Bs)、武藤祐生(Vl)、田川ヒロアキ(G)、竹内亨規(G)、河野敬三(Kb)、響道宴(和太鼓)
◇関連情報(旧作のレビュー等)
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ナチコ(NACHIKO)|おチャッチーのページ
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